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共笑通信 21号(1/2)

2/18/2019

共笑通信  21号     2019/2/18

                                                  

 「共笑基金」をご支援いただいている皆様、いつも本当にありがとうございます。

Facebook の方では随時お知らせしているのですが、通信の形では実に8ヶ月ぶりとなります。

みなさまの変わらないご協力のおかげで、基金も無事4年目を迎えることができます。

新年度支援希望生徒募集開始

 

先週末、県庁記者クラブで、新規支援生徒募集の案内依頼をしてきました。これは翌日の北日本新聞の掲載記事です。対象家庭の方は、ほとんどネットを利用されていないので、こうしたマスコミの広報がないと、基金の存在自体が伝わりません。ということで、3年目の現在は、結局2人の支援だけに終わりました。県庁の「こども支援課」や各市の担当課、県寡婦連合会などにも働きかけをしてそれなりにご協力いただいているのですが、情報がなかなか伝わらないようです。

 今年度は、1) 支援生徒数が少なかったのでその分余裕ができた 2) 皆様からの継続的なご支援が続いている 3) 私事ですが、生涯独身だった私の長姉が去年6月に亡くなった際、遺言で基金に150万円の寄付があった 4) 古本の回収や「富山県教育ネットワーク」の行事の際の募金呼びかけ といった要因で、現在400万円近く貯まっています。ということで新年度は10人支援は余裕を持って実施できます。(5年目の支援はまだまだ見通せませんので、ご支援の方は引き続きよろしくお願いします。)

 支援第1号決定  すぐさま、砺波市内の女生徒から支援希望の申し込みがあり、面接の結果、支援することになりました。何かにつけて見守ってくれていた大好きな実家のおじいちゃんが一昨年末に病気で倒れ、経営していた小さな町工場を閉鎖してしまったので、富山高専の機械科に進んでその工場の跡を継ぎたいという。こんな素晴らしい目標を持った生徒なら、1年間きっと頑張ってくれることでしょう。

新しい世界に挑戦してみることはとても楽しいことなのですね

共笑通信 21号(2/2)

2/18/2019

 今年度支援している2人うちの一人が富山高専の国際ビジネス学科に推薦合格して、感謝の手紙をくれました。(一部を抜粋します)

私は今まで「海外で貧困格差に困っている人達を助けたい」という思いは心の隅にずっともってはいましたが、自分にそんなことをするだけの器はないと勝手にあきらめて、普通に国内で仕事をしていく将来を考えていました。だから、初めは普通科を目指していました。だけど、安念先生方のグローバルな経験を聞いている時の自分がワクワクしていることに気がつきましたし、先生方の話を聞いて、人生は1人につき1回しかないのだから、やってみたいと思ったことに挑戦してみればいいということに気がつきました。・・・色々と可能性のあることを考えると、とてもワクワクします。今のワクワクを忘れず、日々精進していきます。新しい世界に挑戦してみることは、とても楽しいことなのですね。この楽しさに気づかせてくださったのも先生方のおかげです。私の世界が、これでまた一つ広がった気がします。

*お母さんのお手紙も同封されていました。   試験会場へ向かう車の中で「今日という日を迎えれたこと自体がキセキだね。感謝だね。」と話しました。見送る際、ただひとこと「自分らしくだよ ! 大丈夫 !!」と握手しました。そうです、安念先生にいただいたお言葉です。

送金方法

ゆうちょ銀行からだと (手数料無料)

金融機関  ゆうちょ銀行 

記号  13200       番号  17926131   口座名  トモエキキン 

2.他の金融機関 からなら (手数料がかかります)

金融機関  ゆうちょ銀行

店名  三二八     店番  328     預金種目  普通預金  

口座番号  1792613        口座名  トモエキキン (代表者 安念正義)

  egao.tomoe@email.plala.or.jp.
   http://tomoekikin.wixsite.com/egao
   http://www.facebook.com/egao.tomoe/?fref=ts
   0763-32-5283
  939-1315   砺波市太田1360         安念 正義

朝日新聞 富山版 2017/11/17

共笑基金のクラウドファンディングの記事掲載

11/16/2017

 経済的に塾通いが困難な家庭の中学3年生の通塾費用を肩代わりする「共笑(ともえ)基金」が、NPO法人化を目指し、インターネットを通じた寄付を募っている。運営する砺波市の元学習塾経営、安念正義さん(76)は「活動を持続可能にする態勢を整えたい」という。

 同基金は昨年4月設立。収入が少ないひとり親か生活保護を受給している家庭の中学3年生を対象に、月2万円分の塾費用と模試の受験料2万4600円分を利用券で支給する。初年度は4人、今年度は富山市砺波市、上市町、朝日町の計6人が利用している。

 1人あたりの支援費用は年約26万円。これまでは安念さんの私費や教え子の保護者などからの寄付でまかなっていた。NPO法人になることで社会的な信用度を高め、企業や団体などからも運営資金を集める足がかりにしたいという。

 寄付は朝日新聞社が運営するクラウドファンディングサイト「A―port」(https://a-port.asahi.com/projects/tomoekikin)で受け付ける。1口1千~3万円で12月28日締め切り。目標額は30万円で法人化する際の司法書士への謝礼に充てる。16日までに12万円が集まり、「私も奨学金で進学でき、今があります。多くの笑顔がみたい」といった声も寄せられている。(山西厚)

2年目にはいりました。

1年の活動記録をまとめてみました。

6/26/2017

「共笑基金」1年の記録

2016年

1/16  「砺波で語ろう・おしゃべり会」で新年の夢として教育バウチャー基金設立」を

      初めて公表

4/28  ゆうちょ銀行で10万円を寄付して「共笑基金」口座開設

5/ 9  HP と Facebook を開設

5/12  ロゴマーク Smiles for Tomorrow 完成

5/13  会員第1号会費納入

6/14  「共笑基金」の手作り名刺完成

6/27  県政記者クラブで基金設立を発表、KNBテレビニュースで放映

6/28  北日本新聞、北陸中日新聞、北國新聞で大きく報道

       ・・・Facebookのリーチ71人

7/18  毎日新聞の北陸版で大きく報道

7/25  卒塾生の保護者が100万円寄付

8/10  医療法人からの寄付第1号・・・「ものがたり診療所」

8/13  支援生徒第1号決定・・・射水市

8/15  KNBテレビの特集「幸せのスタイル」の中でドキュメント的に取り上げられる

8/16  「共笑通信」1号を発信

8/25  企業からの寄付第1号・・・「砺波工業」

9/ 2  支援生徒合計4人となり、今年度の新規受付終了

9/ 9  読売新聞の全国版「顔」で紹介される

      ・・・札幌、千葉、東京、川崎、高槻(大阪)、神戸から寄付

       ・・・Facebook のリーチ195人

11/20 「共笑基金」を題材にして県高校文化祭放送部門に参加した砺波高校2年の

      大西尚也君が最優秀賞受賞

2017年

2/ 1  クラウドファンディングReadyfor に参加

       ・・・Facebook のリーチ264人

2/ 6  Twitter にも初投稿

3/ 1  北日本新聞「虹」欄で1面全面で取り上げられる

3/ 3  クラウドファンディング、目標金額に対して達成率 154%の30.9万円で終了

3/ 4  新年度支援生徒10人募集、新年度計画を県庁記者クラブで発表

3/ 6  塾ジャーナル」で紹介される

3/11  新年度支援生徒第1号決定・・・上市町

3/16  昨年度支援していた4人とも、目標高校に合格

3/24  HP がやっと検索にかかり始める・・・カウンター設置

5/ 1  「私塾界」で見開き2㌻で紹介される

5/10  2016年度決算の監査報告・・・Facebook のリーチ226人

       Readyfor から 258,942円入金

6/ 2  朝日新聞の県版トップで報道

 

2017年3月末(会計年度末)現在の状況

 パートナー塾・・・7塾21教室

 会員・寄付者・・・60人(会費だけでなく寄付もいただいたり、

          何度もご寄付いただいている方もおられます)

 収入合計    280万円・・・会費、寄付金、パートナー登録金

 新年度繰越金  190万円

朝日新聞(富山版)

6/1/2017

塾の費用 基金で支援

経済的に通えない中3対策

経済的に塾へ通うことが困難な家庭の中学3年生を支援しようと、砺波市の元学習塾経営、安念正義さん(76)が通塾費用を肩代わりする「共笑(ともえ)基金」を運営している。今春は支援した4人が高校に合格。今年度は10人を目標に、基金への寄付を呼びかけている。

 支援対象は、収入が少ないひとり親か生活保護を受給している家庭で週2、3回、塾通いをして勉強する意欲のある中学3年生。塾の費用月2万円分と模試の受験料2万4600円分を利用券で支給し、基金に賛同する県内の学習塾22教室で学ぶことができる。

 安念さんは神戸市出身。砺波市で1980年から36年間、塾を開き、地域の子供たちに英語や数学を指導。昨年4月までは県内の学習塾などが加盟する「県教育ネットワーク」の理事長も務めた。

 「塾に通う子供たちのおかげで生活してこられた。子供たちに恩返ししたいと考えた」と安念さん。5年前から、ひとり親世帯の子供を対象に自宅で無料教室を開催。より多くの子供たちを応援しようと昨年4月に基金を立ち上げた。

 今春卒業した4人からは、「塾に通えていなければ、今の高校を受験することもなかった」「学問だけでなく人の優しさにも気づき、感じることができた」との声が寄せられた。受験先をランクアップし、合格した生徒もいたという。

 今年度の支援枠は10人で、これまでに富山市砺波市、上市町、朝日町の計6人への支給が決まった。

 10人の支援には年間264万円が必要で、安念さんは寄付を集めようと企業などを回る毎日だ。

 「家庭の事情で勉強する機会を失っている子供たちはまだまだ多い」。毎月500円からの「ワンコイン寄付」など、継続的な協力も呼びかけている。

 寄付の方法などは共笑基金のウェブサイト(http://tomoekikin.wixsite.com/egao)へ。(山西厚)

塾に通えない子供を支援する「共笑基金」  私塾界5月号掲載

安念正義さんは富山県砺波市で無料教室を開く傍ら、昨年4月に「共笑基金」を設立した。 この基金は、経済的な理由で塾に通いたくても通えない子供たちに利用券を配り、近くの塾に無料で通ってもらおうというもの。なぜ共笑基金を設立することになったのか、そして今後はどんな目標を掲げているのか、迫っていく。

4/30/2017

新聞掲載で各地から寄付が

富山県砺波市で、「安念塾」を営んできた安念正義さん。

安念さんは、経済的な理由で塾に通いたくても通えない子供たちを支援しようと、昨年4月に「共笑基金」を立ち上げた。「共笑」には、「みんなが笑顔で生活できる社会になってほしい」との意味が込められている。

 この基金が支援の対象としているのは年収200万円以下の一人親家庭か生活保護受給世帯の中学3年生だ。支援する子供には、1か月の塾費用として毎月2万円分のバウチャー(利用券)を配布。共笑基金に登録している県内7つの塾、20教室の内、好きな教室で学ぶことができる。

 昨年6月、共笑基金のことが新聞3社に取り上げられると、若い女性から電話があり、その後匿名で振り込みがあった。

 また、9月には別の新聞社の全国版で紹介され、千葉、埼玉、東京、大阪、神戸から会員登録と振込があった。この記事には電話番号が掲載されていなかったため、それぞれがインターネットで検索してホームページにアクセスしている他、インターネットを使っていない68歳の女性は、新聞社に電話をし、安念さんに連絡をしてきた。「わざわざインターネット検索や電話をしてまで寄付してくださるなんて、本当にうれしい限りです」と安念さんは目を細める。

これまでの経験を活かして社会貢献

 神戸で生まれた安念さんは同志社大学文学部英文科を卒業後、神戸新聞社に入社。10年間勤務したのち退社し、1977年に渡米した。アメリカではワシントン大学に学び、1979年に卒業。そしてその年の暮れに、妻慧子さんの故郷である砺波市に移り住んだ。

 翌年4月、40歳で安念塾を開校。看板も掲げず、宣伝もしなかったが、ゲームなどを行うユニークな英語教育で、子供たちの英語力を引き上げた。「安念塾に通えば英語が伸びる」と口コミで評判が広がり、多くの子どもが通塾。卒塾生が1000人を超えている。

 県内の学習塾などでつくる、一般社団法人「県教育ネットワーク」の理事長を4年勤めた安念さんは、75歳になったら塾をやめようと考えていた。7年前からは中学1年生の募集を中止。そして昨年、最後の塾生となる高校3年生が無事卒塾し、36年間にわたって営んできた安念塾を閉じた。

 時間的に余裕ができた安念さんは社会貢献したいと考えるようになる。「これまで生活できたのは、塾に通ってくれた子供たちのおかげ。今度は塾で恩返しがしたい」と思い、貧しくて塾に通えない子供たちを集めて無料教室を週に1回開くことにした。

 無料教室をはじめたことがきっかけで、遠くてこの教室へ通えない子など、県内全域の貧しい子供たちを支援したいと思うようになる。そして昨年春、共笑基金を立ち上げた

若い世代と盛り上げていきたい

 安念さんは寄付を集めるため、地元の企業をまわるという地道な努力を重ねている。しかし、企業からの寄付は思うように集まっていない。

 頼りになるのは、安念塾の卒業生とその保護者だ。 ある82歳の保護者は「何か社会貢献をしたいと思っていたところ、先生のすばらしい計画を知り、ぜひ協力したいと思った」と100万円を寄付してくれた。

 新聞を見て寄付してくれた人たちの金額と合わせて目途が立ったため、昨年8月に2人、9月にもう2人の男女計4人の中学3年生に支援を開始した。4人は一生懸命、塾で勉強。その結果、この春、全員志望高校に見事合格している。中にはワンランク上の高校に受かった子や、無理だと言われていた県立高校に合格した子もいる。「職業科しか行けないと言われていたのに、普通科に合格し、進路の幅が広がりました。これも共笑基金のおかげです。本当のありがとうございます」といった感謝と喜びの声が届いている。

 今年度は10名の子どもたちを支援したいと考えているが、そのためには264万円ほどが必要だ。寄付してくれた人たちへ再度寄付をお願いしている他、引き続き企業訪問を行ったり、フェイスブックで呼びかけたりしている。それ以外にも、クラウドファンディング「Readyfor」を活用。30万9千円が集まった。

 今後は、以下にこの事業を続けていくかが課題だ。

共笑基金は安念さん個人でおこなっているため、法人化をしたり、後継者を育てたりといったことが必要になる。

「この事業は継続していかないと意味がないので、一人ですべてを抱えていてはダメなんです。これからは富山大学や富山国際大学の学生に参加を呼びかけ、NPO法人化したり、一緒に運営したりしていくつもりです」と語気を強めた。

塾代支援でサクラサク

読売新聞の北陸ページ「ワイドリポート」(24面)で 「共笑基金」が大きく紹介されました。

4/15/2017

 塾に通えない子どもたちの通塾費を肩代わりする「共笑基金」(砺波市)の支援を受けた中学3年生4人が今春、県内の高校に合格した。基金は今年度から支援枠を10人に拡大し、希望者を募っている。昨年度、支援を受けた高岡市の女子生徒(15)は「基金のおかげで志望校に合格できた。本当に感謝しています」と笑顔で話す。
 基金は、申請のあった家庭に対し、塾の1か月分の費用として毎月2万円分の利用券を配布し、券を使えば、登録している県内七つの塾が運営する20教室で学べる仕組み。県内の学習塾などでつくる一般社団法人「県教育ネットワーク」の前理事長、安念正義・共笑基金代表(76)が昨年4月に、個人や企業から寄付を集めて設立した。
 対象は、ひとり親世帯や貧困家庭の子どもたち。昨年度支援をうけた中学3年生4人は、この春、いずれも県内高校に無事に合格した。
 昨年夏から支援を受けた高岡市の母子家庭の女子生徒(15)は、苦手な数学と理科の2教科を
塾で受講し、志望校に合格。「支援がなければ1教科しか受講できない状況だったので本当に感謝している。将来は、得意な英語を生かして海外で活躍するのが夢」と笑顔で話す。

 基金には「塾に通って成績が上がり、進路の選択肢が広がった」「勉強だけでなく、人の優しさにも気づけた」などと記された感謝の手紙が寄せられている。
 安念さんは、「今年度の支援枠にはまだ空きがあるので、ぜひ申請してほしい」と呼びかけている。
詳しくは、共笑基金(0763-32ー5283)へ

北日本新聞_虹_20170301

北日本新聞の「虹」欄に「共笑基金」が全1面で紹介されました。

2/28/2017

学びを生きる力に

通塾を支援する共笑基金  

「よっしゃ。あんた全問パーフェクトやないか。分かると勉強も楽しいやろ」

「もっと濃くノートに書いてくれいうてんねん、 年寄りには見えへんのや」

威勢のいい関西弁がぽんぽん飛び出す。つられて中学生たちは笑顔になる。

「言葉遣い、反省するんですけど」と苦笑いする安念正義さん(76)。砺波市太田の自宅で、4年前から一人親家庭など生活が厳しい子どものための無料学習教室を開いている。

 15畳ほどの座敷で、座布団に座って中学1年生から3年生まで4人が机に向かう。寺子屋のような雰囲気は、昨年まで36年間営んできた「英語の安念塾」のまま。

 神戸で生まれ育った生粋の関西人。10年間の新聞記者生活を経てアメリカの大学を卒業後、妻・慧子さんの古里に移り住み、40歳で開いた塾。

 看板も掲げず、宣伝もせず、わずか3人の生徒から始まって、「安念塾に通えば英語が伸びる」と口コミで評判が広がった。その塾を高齢を理由に閉じたが、「これまで生活できたのは塾に通ってくれた子どもたちのおかげ」と、恩返しの思いで無料教室を始めた。大人が守るべき子どもの6人に1人が貧困状態にあり、「子どもの貧困対策法」が成立した年だった。

 無料教室をきっかけに、県内全域で経済的な事情で塾に通えない子どもたちを支援できれば、と思うようになった。そして昨春、「共笑基金」を立ち上げた。

 共笑基金で支援する1人当たりの通塾費は、模試代も含めて年間27万円。利用券を配布し、基金にパートナー登録した七つの塾の20教室から選んで通う。年収200万円以下の一人親家庭か生活保護を受けている家庭の子どもたちが対象だ。「塾で勉強する習慣を身に付ければ、その子なりに必ず伸びる」。安念さんには36年間の塾経営で得た確信がある。「分からなかった問題が解けると、無料教室の子たちは”私、天才かも”と素直に喜びます。努力すればできるという体験の積み重ねが将来の生きる力になるんです」

 安念さんの思いをかたちにしてくれるのは、趣旨に賛同する個人や企業からの寄付金だ。だが、地縁血縁が幅を利かす土地柄で県外出身の身には確固とした人脈はない。慧子さんは当初、「中途半端に終ってしまうかもしれない。それならやらない方がいいのでは」という不安があった。

 実際、企業を回っても門前払いになることもあった。

頼みは、親子2代で通うような信頼関係を育んだ卒塾生たちとの強い結び付きだった。

「書き入れ時の夏休みに2週間休み、夫婦揃って海外旅行に出掛けていました。型破りな塾だったんですよ」。2人が笑って振り返る安念塾は、小器用な受験テクニックにとらわれず、英語を学ぶ楽しさや意義を伝えた。目標を高く掲げなさいという夫婦の考え方や生き方は若い感性を存分に刺激した。高校の3年間通った高岡市の女性(40)は「お子さんのいなかった先生は、生徒たちを自分の子どものように育て上げてくれました」と話す。

 基金を立ち上げて数ヶ月後。100万円を寄付したいという卒塾生の保護者が現れた。80歳を超えたその人は、「社会貢献をしたいと思っていたけれど、何ができるのか分からなかった。子と孫の恩師の取り組みにぜひ協力したい」と話したという。

 寄付金は少しずつ増えていった。全国紙でも紹介され、県外の人たちからも申し出があった。初年度、4人の中学3年生を塾に通わせることができた。

 去年12月、1通の手紙が安念さんのもとに届いた。読み終えると、胸に暑いものがこみ上げてきた。共笑基金の支援で塾に通うA子さん(15)からだった。

 塾に通うようになって苦手の数学と理科で初めていい点が取れて自分でも驚いたという喜びとともに「安念さんは私の恩人です。安念さんの思いを忘れずに勉強を頑張ります」とつづってあった。

 両親はA子さんが3歳のときに離婚し、母親(42)と2人で県西部の市営住宅に暮らしている。歩合給で働く母親の収入は安定せず、小さいときから苦労する姿を見てきたA子さんは、「塾にお金を出すのはもったいない」と思っていた。そんなときに共笑基金のことを知り、すぐに母親に連絡をしてもらった。

 英語が好きで英検準2級を持つA子さんの第一志望は、英語教育に定評のある県内の私立高校。ただ、学費が高い私立に進学していいのか、一人で悩んでいた。背中を押してくれたのは、「お金のことは気にしなくていいよ。夢をあきらめないで」という母親の励ましだった。塾に通い始め、成績が上がったことも自信につながった。

 A子さんは志望校に推薦で合格した。ほっとした表情を見せる母親に、A子さんは「大きくなったら親孝行をいっぱいするからね」と笑顔を見せた。

 合格したことはもちろん、母親がうれしかったのは、A子さんが安念さんはじめ多くの人に応援してもらったことをしっかり受け止めていることだ。「人として大切なことを学んだのでは。これからの人生に大きな意味があると思います」

 学びたいけれど、経済的な事情などで学べない子どもたちに教育の機会を増やしたいーー。A子さんの手紙は、安念さんに新たな勇気を与えてくれた。

 安念さんが開く無料教室は昨年から公的な助成を受け、そのお金を共笑基金に回せるようになった。公的助成による無料教室は県内約10ヵ所で開かれ、約100人の子どもたちが登録している。

 氷見市では市の委託を受けた市社会福祉協議会が週1回、「DDスマイル塾」を公共施設で開く。当初の一人親家庭から生活困窮家庭へと対象を広げ、3人でスタートした塾にはいま、小学5年生から高校生まで12人が通っている。

 支援スタッフは大学生含め5人。「遠慮せず何でもスタッフに質問するべし」「休憩中は最大限楽しむべし」など、子どもと大人が一緒に塾の「五カ条の御誓文」を考えるなどアットホームな雰囲気だ。学校では心を閉ざしていた中学3年生の男子(15)も、塾では次第に打ち解け、笑顔を見せるようになった。いま、県立高校を目指して勉強に励んでいる。

 中学生対象の無料教室が多い中、小学生からの早期支援と、生活支援に力を入れている。同協議会の澤田有紀さん(34)は「学習を通した居場所づくりによって、たくさんの大人が君たちを見守っているんだと感じてもらえれば」と話す。子どもたちは地域のイベントにも積極的に参加するなど、学習以外の活動にも取り組んでいる。

 学習支援員の上野達也さん(46)は「この塾は、困難を抱える子どもたちにどう関わっていくのか、大人たちが学ぶ場でもあります」と話す。

 県立高校の全日制一般入試が迫り、受験シーズンも大詰め。どんな境遇の子どもであっても、夢と希望を持って「15歳の試練」に立ち向かってほしい。安念さんら学習支援に取り組む人たちの思いだ。

 共笑基金ではネットを通じて寄付を募るクラウドファンディングも始めた。新年度は10人を支援しようと、安念さんは走り続ける。

 「サクラ咲く」の吉報は幾つ届くだろうか。たとえいまは咲かなくても、目標に向かって努力した経験は、これからの長い人生を切り開き、生きる力になる。安念さんはそう信じている。

毎日新聞の「北陸ひと模様」

「共笑基金」が詳しく紹介されました。

7/16/2016

塾に通えない子を支援 安念正義(あんねん・まさよし)さん(75)


 

 「経済的理由で学習塾に通えず、『勉強ができない』と自信をなくしている子供たちを笑顔にしたい」と、今年4月、「共笑(ともえ)基金」を設立した。寄付金を元に、一人親や生活保護家庭にバウチャー(利用券)を配布して、登録した学習塾の通塾費に充ててもらう仕組み。支援の輪は広がりつつある。

 神戸市出身。新聞記者などを経て、1979年の暮れに妻の古里・富山県砺波市へ移り住み、翌80年4月から「生活のため」自宅で学習塾を開いた。戦前からある古い民家の座敷に机を置いただけの簡素な作り。看板も出さなかったが、安い月謝にビンゴゲームなどを利用した独特の英語教育は、たちまち県内で評判になった。 以来、高齢を理由に廃業した今年2月まで36年間、同じ場所で教え続けた。卒業した塾生はゆうに1000人を超える。2013年から3年間、富山県内の学習塾などでつくる一般社団法人「県教育ネットワーク」の理事長を務めた。同じ年から、貧しくて塾に通えない地元の子供たちを対象にした無料教室を週1回開いている。「生活できたのは塾に通ってくれた子供たちのおかげ。今度は塾で恩返ししたい」と思ったからだ。 無料教室の取り組みをきっかけに「貧しい子供たちの支援を、県内全体に広げたい」と考えるようになり、「共笑基金」を設立した。個人や企業から寄付金を募り、そのお金を元に、通塾を希望する子供1年分の通塾費に当たる24万円分のバウチャー(利用券)を配る。模試代などの利用券は別途支給する。子供は基金にパートナー登録をした塾のうち、最寄りの教室に通う。支援するのは、年収200万円以下の一人親か生活保護を受ける家庭の子どもたち。当面は高校受験を控えた中学3年生が対象だ。 7月15日現在、パートナー登録した塾の教室は県内で17。基金には50万円以上が集まっている。初めて支援する生徒も決まりつつある。それでも現在の寄付金の集まりでは、支援するのは2人がやっと。フェイスブックなどを通じて個人に呼びかける他、県内の企業などにも出向き、協力を求めていきたいという。 基金の名前「共笑」には「みんなが笑顔で生活できる社会になってほしい」との願いを込める。「しっかり勉強すれば、成長するのは長年の指導でわかっている。全国的に貧困が進む中、塾に通いたくても通えない一人でも多くの子供たちを救いたい」と目に力を込めた。【大東祐紀】 ■人物略歴 1941年1月生まれ。神戸市出身。64年、同志社大文学部英文科卒。神戸新聞社に入社し、社会部で事件・事故の取材を担当した。10年間勤務し退社後、77年に米ワシントン大学に入学、79年に卒業。趣味は電子書籍での読書や海外旅行、登山。基金の申し込みは、自宅(0763・32・5283)、メール(egao.tomoe@email.plala.or.jp)まで。Copyright 毎日新聞

北日本新聞 2016/06/28

県政記者クラブでの「共笑基金」設立発表についての記事です。

6/27/2016

県内の学習塾などでつくる「県教育ネットワーク」の前理事長、安念正義さん(75)=砺波市太田=が、一人親家庭の子どもを支援する「共笑(ともえ)基金」を設立した。寄付金でバウチャー(利用券)を子どもに配布し、登録した学習塾の月謝に充ててもらう。安念さんが27日、県庁で説明した。

 同基金は趣旨に賛同した個人や企業から寄付金を募り、そのお金で通塾を希望する子どもに1年分の通塾費に当たる24万円分の利用券を配る仕組み。模試代などの利用券は別途用意する。同基金は4月に設立され、現在県内14の塾が登録。塾は登録費として1万円を同基金に寄付する。

 神戸市出身の安念さんは妻の古里・砺波市へ移り住み、1980年から自宅で36年間にわたって学習塾を経営していた。2013年からは一人親家庭の中学生を対象に無料で学習教室を開いている。

 27日の説明会で、安念さんは「経済的理由で塾へ通えない子どもはたくさんいる。自身の取り組みをもっと広げたかった」と設立理由を語った。当面は募集を中学3年生に限定し、登録する塾や寄付金が増えれば順次年齢を広げていく。同基金の名称に触れながら「みんなが笑顔で生活できる社会になれば良い」と話した。

 申し込み、問い合わせは安念さん、電話0763(32)5283。

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新聞の掲載記事等

北日本新聞_20160628
毎日新聞_20160717
北日本新聞_20170301
読売新聞_20170416
月間私塾界_20170501
朝日新聞_20170602
朝日新聞_20171117a
共笑通信21号
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